ゴミ山に飲まれて #ゴミ山潜入ルポ3

第二章『ゴミ山の実態』

 

ゴミ山の洗礼を受け、このままここに立ち止まってはいけないと思った。

歩みを止めたらもう歩けない。

簡単に心が折れるだろう。

 

ハエが自分の体に止まるたびに、自分もゴミ山の一部になっていくような気がする。

作業をしている人びとを横目に、私は再び歩き始めた。ゴミを金属の棒でひっかけて集める音が耳に残る。私が地面を踏みしめる音は、人びとの営みの中に吸い込まれるようにして消えた。

道の右側には大きな集積所があり、そこではショベルカーがゴミを運んでいる。ショベルカーのキャタピラはゴミで埋まっていて見えない。積もったゴミの量の多さを感じる。ダンプカーが出入りする集積所の目の前には、サリサリストア(現地のコンビニエンストア。そういった屋台のこと。)があり、さらに隣にはなんと食堂がある。衛生面がどうとか、そういう次元の話ではない。現地の人は、ここで働き、ここで食べ、ここで寝る。それ以上でも、それ以下でもない彼らの生活がここにある。

 

 

集積所からまた少し歩いた。異臭にもだいぶ慣れてきた。

すると、私の横を野犬が走っていく。セブ島には野犬がたくさんいる。

噛まれて狂犬病にでもなったら終わりなので、なるべく近づかないようにする。

基本的に目を合わせないようにして、ひたすら歩く。

追い越していく犬の先に目をやると、十数年前の記憶がフラッシュバックした。

 

ゴミに囲まれた子どもが、歩きながら何かを食べている姿があった。その子どもの周りを野犬がうろついている。

 

 

 

 

髪の毛はボサボサ、身に付けている赤いシャツは黒ずんでいる。一番驚いたのは、何が落ちているか分からないような場所で、サンダルで歩いているということだ。ガラスでも踏んだ場合、一大事である。傷口から細菌が入り、感染症を引き起こしたりしたら命に係わる。

 

 

これだけ貧しい場所に病院に行くお金を持つ家庭があるとは思えない。

 

ここは常に、死と隣り合わせの環境である。

 

この子は、無事に大人になることができるのだろうか。

 

何も援助をすることができない私にとって、この子の存在は現実であり、あまりに残酷であった。

 

私のできることはただただ、記録をし続けることだけだった。

 

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